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2022年4月22日(金) KEN FOLLETT  『THE PILLARS OF THE EARTH』を読む

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   12世紀半ばの史実を背景として、キングズブリッジという架空の町に建築される大聖堂を中心として展開される群像劇。ホワイトシップの遭難から始まる無政府時代からカンタベリー大司教トマス・ベケットの暗殺という半世紀の間が描かれている。  ロマネスク建築からゴシック建築へ移り変わる技術的な歴史も背景としている。キングズブリッジは実際のイングランドの町から名前をとっているが、作中のキングズブリッジは筆者の創作によるものである。  いつかこの手で大聖堂を建てたい―果てしない夢を抱き、放浪を続ける建築職人のトム。やがて彼は、キングズブリッジ修道院分院長のフィリップと出会う。かつて隆盛を誇ったその大聖堂は、大掛かりな修復を必要としていた。折りしも、国王が逝去し、内乱の危機が!十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々が華麗に織りなす波瀾万丈、壮大な物語。  本院の修道院長となったフィリップに任命され、トムが大聖堂建立に着手する日がやってきた。トムの緻密な計画のもと、大聖堂の普請は着々と進んでいった。が、新しいシャーリング伯となったハムレイは、フィリップに敵対する司教と組み、執拗な嫌がらせを仕掛けてくる。自領に比べてキングズブリッジの繁栄に嫉妬したハムレイは、やがて町に焼き討ちを!  トムの死後、息子が引き継いだ大聖堂が建築途中で崩れ落ちた。焼失に崩壊......大聖堂は呪われているのか?一方、職人の才能を開花させたトムの弟子のジャックは、ヨーロッパで修行しながら放浪していた。新しい建築技術を取得した彼は、フィリップと大聖堂を救うべく町へ帰還、物語は感動のクライマックスへ。ハムレイは大司教トマス・ベケットを暗殺した罪で死刑にされる。ジャックは恋人のアリエナと結婚して幸福な生活を送る。ベケット殺害の責任を認めたヘンリー王をフィリップが鞭打とうとする場面でこの物語は終幕を迎える。  東京ブックランド  1440円+税

2022年4月17日(日) 川野泰周 『悩みの9割は歩けば消える』を読む 

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   マインドフルネス(今この瞬間に意識を向ける)の観点から、著者が提唱するマインドフル・ウォーキング(呼吸を2歩で吸い、4歩で吐く、または、呼吸を4歩で吸い、6歩で吐く、または、2歩で吸い、10歩で吐く)をすることによって、脳の疲れをとるというものです。また、歩行瞑想によって「自分を思いやる」自慈心を養い、他者に対しても思いやりが持てるようになります。マインドフル・ウォーキングの際にはぜひ、片足ずつ注意を向けることと同時に、周囲の景色や風の感触、小鳥のさえずりなど、移り変わっていく自然の「ゆらぎ」「1/fゆらぎ」を感じてみましょう。「今、この瞬間を生きる」マインドフル・ウォーキングを行うことによって、健やかな自己が形成されるのです。さあ、あなたも今からマインドフル・ウォーキングを始めましょう。最後に本書から一部引用しておきます。「ウォーキングが健康増進に役立つことはよく知られていますが、先述のように、近年、ふつうのウォーキングと、足の感覚に注意を集中させて歩くマインドフル・ウォーキングを比較する研究が少しずつ進んでいます。それによれば、うつ病が軽減されたのは、マインドフル・ウォーキングのほうでした。 メンタルの問題だけでなく、動脈硬化など循環器系の病気や、メタボなど内分泌系の病気など、体のほうにもよい効果が出ることも、わかってきているのです 。」 青春出版社 980円+税

2022年4月10日(日) 小泉武夫 『納豆の快楽』を読む

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  納豆の歴史、栄養素、美味しい食べ方、数々の納豆料理(納豆ライスカレー、納豆の天ぷら、漬け物納豆、納豆の雑炊、納豆巻き、納豆スパゲッティ、納豆サンドイッチ、納豆鍋等)が紹介された本です。納豆好きにはたまらない一冊。最後に本書から納豆の栄養素について書かれた部分を引用しておきます。「『納豆はからだにいいんだ』、『何がなくともまず納豆よ。納豆は栄養あるんだから』などという納豆礼讃、絶賛の言葉をよく聞きます。本当に納豆はそんなに滋養のある食品なのでしょうか。そうなんです。じつは言われている通りなんです。まずエネルギー量(カロリー)は糸引き納豆で200キロカロリーで、茹でた大豆180キロカロリーより多く、同じ大豆加工食品の豆腐に比べると約3倍、味噌とほぼ同等であります。タンパク質が100g中16~17g(16~17%)あり、他に10g(10%)が脂質と糖質です。約60%は水分ですのでタンパク質の占める割合は非常に大きいことがわかりますが、このことは、納豆を飯にかけて食べ、肉をあまり摂取してこなかったデンプン質主体の日本人にとっては意義の大きいことであったのです。と申しますのは、たとえば牛肉の場合、和牛で18~20%のタンパク質を含みますが、これに比べて納豆はそう遜色のないものなのです。『大豆は畑の牛肉』とよくいわれますが、まったくその通りなのですねえ。その上、牛肉には脂肪が多くあるのでカロリーのとり過ぎに注意が必要だとか、コレステロールが多いので注意しなさい、などととかくいわれるのですが、その点、納豆は大丈夫なのであります。脂質は二分の一から三分の一、コレステロールはほとんどありません。また納豆はタンパク質が多いので、それにともなって遊離アミノ酸も群を抜くほど多いのです。イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、シスチン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリンといった代表的なアミノ酸が非常に多く、中でもグルタミン酸は他の多くの食品に比べて特異的な多さを示しています。このアミノ酸はご承知のように『うま味』の本体のひとつでもありますので、納豆がうまいわけです。納豆の栄養で特筆すべきものは、他に無機質があげられます。納豆100g中カルシウム90mg、リン190m