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2021年9月28日(火) KEN FOLLETT  『EYE OF THE NEEDLE 』を読む

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  第二次大戦下、英国で暗躍するドイツ人スパイを描いた小説。細身の短剣の名手、スパイフェイバーがあの手この手で英国警察の手を逃れていく。機密情報を得たフェイバーは小船で英国脱出を試みるが、暴風雨の影響で離れ小島に漂着してしまう。  その島には半身不随の灯台主、デイヴィッドとその妻、ルーシー、子供のジョーが住んでいた。フェイバーは一家の世話になりながら再度英国脱出を画策するが、心ならずもルーシーと恋に落ちてしまう。元英国空軍のパイロットだったデイヴィッドはフェイバーの秘密を嗅ぎ付け、フェイバーと殺し合いをする。その結果、デイヴィッドはフェイバーに殺され、ルーシーもそのことに気づいてしまう。ルーシーとジョーはフェイバーの手を逃れるが、フェイバーは2人に迫ってくる。  最後のルーシーとフェイバーのやり合いは見どころである。ゾクゾクする小説なので、是非、皆様にもおすすめします。  私は原書で読みましたが、邦訳も出ています。 原書 東京ブックランド  1280円+税 邦訳 『針の眼』 創元推理文庫 戸田裕之訳 1300円+税

2021年9月27日(月)  角幡唯介  『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』を読む  

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   北極探検の物語。探検家・角幡唯介と北極ばかりを旅している「北極バカ」荻田泰永が、19世紀半ば、北極の地で全滅したジョン・フランクリンが率いた探検隊の足跡を辿って極北の地を旅していく痛快な冒険物語である。白い雪原が広がる北極の地を巨大氷の乱氷帯を苦労して乗り越えたり、巨大な北極熊と遭遇したり、大型の草食動物の麝香牛を撃ち殺して空腹を満たしたりする。そして、不毛地帯に入ってからは氷が張った川や湖と格闘しながらボートや徒歩で渡ったり、巨大なレイクトラウトを釣り上げて3日間かけて食べるといったようなワイルドなエピソードが満載なのだ。そして、風景描写にも秀逸さが感じられる。その一部を抜粋しておく。「川に到達する手前で息をのむような美しい光景に出会った。氷の解けた湖が深く水をたたえ、青い水面が風に波打っていた。昇ったばかりの朝陽を浴びて、周りの雪面が赤く輝き、周囲には鮮やかな緑の絨毯が広がっていた。湖は下流で優しいせせらぎとなり、爽やかにグレートフィッシュ川に注ぎこんでいた。」   ハラハラドキドキ、手に汗を握る冒険譚です。おすすめします。 集英社文庫 780円+税