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2022年8月28日(日) 加藤俊徳 『最強のウォーキング脳』を読む

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   脳内科医が書いたウォーキングの効果を検証した本。ウォーキングこそが不調や睡眠トラブルを改善し、充実した日々を過ごすための「最強の脳トレ」である。ウォーキングが、人類にとって目的達成という労働(仕事)力の原点にある。脳は歩けば歩くほど、イキイキするしくみになっている。運動脳を使うことが減り続けることで、運動脳以外の脳の不調が起こってくる状態を、「運動負債」という。普段の生活、会社での仕事、異性との恋愛や人とのコミュニケーションなど、あらゆる行動は高次脳機能であり、そのベース(土台)をつくるのが、ウォーキングである。歩かなければ、記憶力はどんどん低下する。身体が疲れたと感じたときこそ歩いてみる。すると、歩き終えてからすっきりと次の行動に移ることができ、疲れの原因が「動かなかったから」だと気付く。ウォーキングはリズム運動なので、歩いているうちに呼吸が整う。瞑想には呼吸を整え、心を落ち着かせる効果があるが、ウォーキングも同様の効果が得られる。歩いている最中にいろいろなひらめきがあったり、悩みが解決したりするのは良いウォーキングができている証拠である。毎日歩くことで生きていることを実感し、自分が健康であることに感謝するのである。脳と腸は「脳腸相互作用」と呼ばれるほど密接な関係にあり、どちらかの調子が悪くなると、もう一方の調子も悪くなる。脳と腸がつながっているのだから、ウォーキングで脳の調子が良くなれば、腸管運動がスムーズに行われるようになる。余暇の身体運動が、心臓病だけでなく、13種類のがんのリスクを低下させる。若いうちにいくらお金を稼いでも、運動貯金がなければ一気にお金を消費することになる。ウォーキング時、脳のてっぺんから指示が出されて足が動き、歩くことで得た足の情報は、脳のてっぺんに送られる。身体を鍛えると脳が鍛えられ、脳を鍛えると身体が鍛えられる。歩いてもう一度、運動脳から脳を活性化させる。ウォーキングには脳をリセットさせる効果がある。脳は1000億個を超える神経細胞でつくられており、同じような働きをする細胞同士が集まり、特定の場所に基地(脳番地)をつくる。大人もウォーキングをすることで、感覚が研ぎ澄まされ、感情も豊かになり情報処理能力が上がる。物事を頑張れる人は、頑張るための脳をもっている、自分に命令ができる脳をもっているということだ。ウォーキングによって得られ

2022年8月21日(日) 唯川 恵 『バッグをザックに持ち替えて』を読む

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   小説家、唯川 恵の山登りドキュメント。飼い犬のセントバーナード犬のルイが死んだことで始めた山登り。最初は頂上まで辿り着けなかった浅間山の頂上に立つまでのトレーニングの描写が面白い。そして、紅葉を見るために北アルプス穂高連峰に囲まれた涸沢カール(2300m)を目指す。そして、北八ヶ岳の蓼科山を目指す。そして今度は、八ヶ岳最高峰の赤岳を目指す。怖い思いをして登った赤岳の頂上から見た富士山は素晴らしかった。そして今度は、群馬と新潟の県境にある谷川岳を目指す。頂上から眺めた富士山、日本海、南・中央・北アルプスの稜線、浅間山の眺望は素晴らしかった。そして、「魔の山」「死の山」「人食い山」とも呼ばれる一ノ倉沢を見るためにトレッキングをする。そして、一ノ倉沢の全貌の大パノラマに圧倒される。そして、頂上には行けなかったけど、充実した山行となった硫黄岳登山。そして、前回の雪辱を果たすために再び硫黄岳に挑戦。そして、晴天で風も弱い日に気持ちよく硫黄岳のピークに立つ。そして、日本最高峰の富士山(3776m)に登る。そして、高山病の症状に見舞われながらも何とか日本最高峰の頂上に立つ。そして、初めての冬山登山挑戦。著者によると、冬山の美しさは格別なのだそうだ。浅間山にある草すべりから見た景色。真っ白な森、太陽の光を浴びて白銀に輝いている霧氷に覆われた木々。それはまさに百万本のクリスマスツリーである。そして、世界最高峰のエベレスト(8848m)見るためにエベレスト街道をトレッキングする。残念ながら高山病に罹ってしまったために、目的地のカラ・パタール(5545m)までは行けなかったが、予定を変更してナンガゾンピーク(5100m)に登ることで何とか標高5000mをクリアする。この本は著者の山への思いが熱く籠められた登山紀行です。是非、皆様にも読んでもらいたい一冊です。  光文社  1200円+税