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10月, 2021の投稿を表示しています

2021年10月21日(木)  KEN FOLLETT 『TRIPLE』を読む

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    実際に起こったウラニウム消失事件に想を得て、イスラエルのナサニエル・ディクスタイン、ソビエトのKGB、デヴィッド・ロストフ、アラブのヤシフ・ハッサンの諜報部員が知謀と策略を繰り広げる第1級のスパイスリラー小説。3人のスパイが若き日に顔を合わせていたり、それぞれが戦争によるトラウマや家庭内の問題、また名誉欲や復讐心などを抱え、恋愛模様を絡めながら(これが物語の重要な鍵ともなる)一筋縄ではいかない1級の娯楽作品に仕上がっている。 ナサニエルの恋人、スーザ・アッシュフォードとの絡みが面白い。是非、読んでいただきたい小説である。  東京ブックランド  1600円+税

2021年10月11日(月) 角幡唯介  『探検家の事情』を読む

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   角幡唯介『探検家の事情』を読む。探検の余話と探検家の日常を散りばめた読みやすいエッセーである。四十歳、不惑の年を迎えた探検家。その10年前の三十歳の時、新聞記者だった著者は「探検家にもどる」という決意の下、人生に大いに惑っていた。そして、四十歳を迎えた著者は市ヶ谷に住み、妻との喧嘩が絶えなかった。この喧嘩の原因は場所のせいだろうと考えた著者は、妻の勧めもあって、鎌倉に引っ越すことを考える。不動産屋との何回かの駆け引きの後、妻は鎌倉の物件を購入することを決定しかかる。しかし、家を購入することを恐れた著者は「川越でも高幡不動でもいいじゃないか。もっと安いのがあったよ」と言って、千葉県出身の妻をブチ切らせた。不惑になったのに、結局、惑っている著者を描いた<不惑>を始め、読みやすいエッセーが並んでいます。リラックスして読みたい方に向けた本。 文春文庫  690円+税 

2021年10月3日(日)ブレイディみかこ 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読む

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 英国のブライトンに住む著者と息子のふれ合いを中心に展開していくノンフィクション。息子と人種差別癖がありダンスが上手いいじめられっ子のダニエル、貧困層が住む公営団地に住むティムとの交友、著者が底辺託児所で世話をしていたビヨンセの妹、ソランジュ似のリアーナとの再会、息子が二重の意味を込めて名付けた「グリーン(環境問題)(未熟な、経験が足りない)・イディオット」というバンド活動の様子など、英国の「地べた」が分かる内容になっています。英国の差別問題、貧困問題、中学校の教育事情などが分かりやすく書かれています。英国の日常生活に興味がある方にはオススメの一冊。 新潮文庫  630円+税