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2022年10月30日(日) 椎名 誠 『おれたちを齧るな!わしらは怪しい雑魚釣り隊』を読む

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   椎名 誠を隊長とする「雑魚釣り隊」の行状記を描いた冒険ノンフィクション。「雑魚釣り隊」の釣りの模様が生き生きと描かれており、物語の最後に必ず登場する数々の釣った魚でのゴーカな料理。読んだ者も涎が出そうなほどの美味しそうな料理が並んでおり、やっぱり新鮮な魚の料理は美味しいのだと分かる。本書の醍醐味のひとつであるキャンプもご馳走の立役者となっている。浜辺に作ったテントで焚き火を囲みながら、魚料理を味わい、冷えたビールを飲む。「雑魚釣り隊」は様々な場所に行っており、その地方特産の魚が紹介される。メバル、シマアジ、カワハギ、マダイ、アラ......。この本を読むと、必ずあなたも釣りに行きたくなるはず。冒険モノ、釣り好きにはたまらない一冊。これは読んで損することはない。 小学館文庫 780円+税

2022年10月16日(日) 関口正彦 『100歳まで元気でいるための正しい歩き方』を読む

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 著者は、正しい歩き方とは、「つま先側から歩く」ことだと言っています。しかし、わたしは長年、ウォーキングで「かかとから着地して歩く」を続けてきたため、著者の意見には「違和感」を覚えます。著者は、足の裏のアーチは、健康の生命線だと言っています。著者は「つま先側から歩くとアーチを活用できますから、体は活動状態になり、結果、ふくらはぎのポンプ機能も働くので、心肺へ血液を送り込むことができ、体内の循環機能も正常に働きます。自律神経も正常に働きますから、免疫力が向上して体調面も精神面も高いレベルで安定するなど心身とも健やかな状態が継続します。アーチを自在に調節できるかが、100歳まで健康で歩けるかどうかのカギを握るのです。」と述べています。 ダイヤモンド社  1500円+税

2022年10月9日(日) 椎名 誠 『アイスランド 絶景と幸福の国へ』を読む

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   椎名 誠が著したアイスランド紀行。この旅で椎名 誠はふたつのアイスランド人の家族を訪ねる。ひとつめはパン屋さんのフリードリックさん。フリードリックさんの家は地熱の温水パイプを利用している。長いパイプラインを流れてきた湯(温泉)は家に入る段階で60度。キッチンや風呂、床暖房に使って家から出るときは20度ぐらいになっている。給湯の料金は六千クローナ(六千円程度)。  リビングに集まったフリードリック家の三兄妹は家から十六キロ離れた学校にスクールバスで通っているが学校の授業料やその他の主な経費、通学バスにかかるお金も必要ない。この国の学校は基本的にタダなのである。国家が負担しているのだ。医療関係も同じで、手術や入院まで含む医療費は全部国家の負担。フリードリックさんはこう言う。「アイスランドには危ない動物もいないし、犯罪もない。街とは少し違うと思うけれど、毎日の生活に犯罪を含めて“危険“なものが入り込んでくることがめったにない。この国の警官は拳銃を持っていないんですよ。軍隊もないですしね。ここでいちばん危ないものは大自然です。火山の噴火と雪崩、あとは海の事故ぐらいでしょうか。」  ふたつめの家族は北大西洋で漁師をしているベネディクトさんだ。ベネディクトさんの奥さんと娘さんはこう話す。「この町はなんでもレイキャビクより高いんですよ。レイキャビクはスペインより高い、だからヨーロッパで買い物をするときは物価の安い国をさがします」三児の親の娘さんはこう言う。「この国には軍隊はない。学校や病院のシステムも出来ているし、子供を自由に安全に育てられる。子供が遅くまで帰らなくても心配する必要がない。ありがたいことだと思います」  そして、椎名 誠は風景として重層的に全体が汚い「日本」という国に「違和感」を覚える。大量の人々が、どの国よりも1.5倍ぐらいの速さで動き回り、精密に計算された何かの異様な群衆スポーツのように、誰ともぶつからず、全体がなにか意図不明の悪夢に包まれたように濃密に動き回っている異次元的風景にも見える。街はどこもてんでんばらばらにデカボリュウムで宣伝音楽や広告の叫び声をあげている。人間ではないようなマニュアル言葉しか喋れないレストランやコーヒーショップの若い従業員たち。そのまわりを動き回る人々の絶え間ない喧騒とやはり個々は基本的に無表情の連続。住宅地では毎日複数の業

2022年10月6日(木)KEN FOLLETT 『A Column of Fire』を読む

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   16世紀中葉のイングランド。大聖堂を擁する河畔の商業都市キングズブリッジで貿易を営むウィラード家は、カトリックでありながらもプロテスタントに対しても寛容な家柄だった。一方、商売敵でもあるフィッツジェラルド家は頑ななカトリックで、両家の仲は決していいとは言えなかった。ネッド・ウィラードとマージェリー・フィッツジェラルドは恋仲だったが、彼女の両親の反対にあって引き裂かれる。失意のネッドはサー・セシルを頼ってエリザベス・チューダーの下で仕事をするようになるが...。  舞台は16世紀。英仏宗教戦争のまっただなか。時代に翻弄されるふたりの女王と、市井の人々。布教、秘密礼拝、暗躍するスパイ、密告、拷問、火炙り。王族の対立、大虐殺、報復の連鎖、戦争、大海戦、斬首刑。秘められた愛、非業の死、跋扈する悪、やがて待ち受ける宿命の対決。すべてが終わったあとに残される、未来への希望。新世界。 ありとあらゆる「物語の醍醐味」が、この長大な小説のなかでひしめきあっています。 長い。そうですね。確かに長い。それでも、費やされる労力と時間に見合うだけの、至高の読書体験をお約束します。 東京ブックランド 1600円+税