2022年12月13日(火) 枡野俊明 『おだやかに、シンプルに生きる』を読む

  


現役住職による禅語の教訓を紹介した本。この中で印象的だった禅語を紹介していきたいと思う。まず、非思量。これは、頭で考えてばかりいるから、イライラが募るということを教える禅語。次に、体露金風。これは目に触れる自然、それこそが悟りの姿そのものであることを意味した禅語である。そして、喫茶喫飯。これは、いま自分がやっていること、そのものになりきることが大事であることを示した禅語である。独坐大雄峰。これは、「いまこうして自分は生きている。そのこと自体が有難いことであり、そこにこそ幸せは宿っているのだ」ということを示した禅語。日々是好日。これは、晴れの日には晴れのよいことがあり、雨の日にもまた雨の日にしか味わえないものがあるということを示唆した禅語。白雲自在。これは、「心のなかに巣食っているこだわりや執着心を捨てて、自在に生きていくこと。そのために禅の修行がある」ことを説いている言葉である。山花開似錦。これは、「この世にあるすべてのものは、常に移り変わっている。移りゆくことこそが、永遠に変わらぬ真理である」ことを教える言葉である。花無心招蝶 蝶無心尋花。これは、縁というものはすべての人のもとに平等に訪れるものだということを教える禅語。白雲抱幽石。これは、孤独な時間をもつことがストレスを和らげてくれるということを教える禅語。而今。これは、命の真実は「今」にしかないことを説いた言葉である。歳月不待人。これは、「今日という日は二度と戻って来ない。いたずらに日々を過ごしていれば、あっという間に時は過ぎ去ってしまう。一日を大事に生きなければいけない」、ということを教える禅語。一行三昧。これは、「釣りをしているのなら、釣りになりきる。仕事と向き合っているのなら、その仕事になりきる。そういう心をもつことの大切さ」を説いたもの。人間到処有青山。これは、人間は本来、天職などというものはもっていないということを教える禅語。平常心是道。これは、日常生活そのものが道をなすということを教える禅語。直心是我師。これは、ありのままの心が道を示す師となるということを教える禅語。無念無想。これは、とらわれから離れ、ただひたすらに生きるということを説いた禅語。柳緑花紅。これは、自然はそのまま真実の表れということを教える禅語。松樹千年翠。これは、大事なものはいつも目の前にあるということを教える禅語。大道通長安。これは、どの道を歩んでも、人間は必ず幸せに辿り着くことができるということを教える禅語。このように、禅語には人生に深い影響を与えてくれる含蓄がある。「生きる」ということを真剣に考えている人には是非、読んでもらいたい一冊である。

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